学校法人 水野学園 2024年度 卒業制作展

ゲスト審査員森 知彦 様

審査員評金属なのに裏側が透けているように見える、とても不思議で魅力的なジュエリー。本体を二重構造にし、それらをずらすことでパーツが開閉する仕組みになっています。斜めになったパーツ同士が反射することで透けているように見えるのですが、「構造」をよく理解しているからこそ生まれる発想です。各パーツがスムーズに稼働するように仕上げた技術力の高さも、目を見張るものがありました。グランドプライズに相応しい見事な作品です。

ゲスト審査員株式会社スタジオアルタ
田代 径大 様

審査員評この作品を目にした時、歪なのにどこか絶妙なバランスで調和した独特な意匠に、思わず心が引き込まれました。日本の伝統技法である「和綴じ」を取り入れることで、遠い昔から受け継がれてきたものと、現代の洗練された雰囲気が見事に融合し、この作品の不思議な魅力に繋がったと思います。作品制作だけにとどまらず、ワークショップなどを通じてこの作品を拡げていくアイディアがあることにも、牛込さんの視野の広さを感じました。

ゲスト審査員森 知彦 様

審査員評ギリシャ建築の装飾からインスパイアされたネックレス（ブローチ）とピアスのセット。建築における装飾の役割をよく理解したうえで制作されており、シルバーの白さと丁寧な仕上げ、温かみが一体となり、とても良く調和していました。特にその手仕事は細部にまで行き届いており、ネックレスの動きもよく表現されています。手作りのクラスプをはじめ、細かいパーツの裏側まで一切の妥協がなく、全体的にとても丁寧な印象を受けました。

ゲスト審査員森 知彦 様

審査員評シルバーと七宝を巧みに組み合わせ、魚の瑞々しさが見事に表現されたブローチです。ヒレや鱗などの細かい部分も繊細かつ丁寧に作り込まれており、作者の鋭い観察力だけでなく、魚への深い愛情も伝わってきました。色の選び方やグラデーションの使い方も見事。まるで本物の魚を見ているような感覚さえ覚えます。単体で見ても充分存在感がありますが、並べたときの美しさも素晴らしい。思わずコレクションしたくなるような作品です。

ゲスト審査員森 知彦 様

審査員評最初見た時は、何の形なのか分かりませんでした。ただ、愛犬との散歩コースや、その時々で感じた移り変わる情景など、作者自身の様々な思い出がモチーフになっていると知ると、俄然興味が湧いてきました。小さな変化に目を向けながら、形がないものを形にするのはとても難しかったと思います。それでも作品として見事に成立させ、ジュエリーとしての魅力もしっかりと保たれている点に、作者の感性の高さとセンスの良さを感じました。

ゲスト審査員PHILLIPS
藤本 和彦 様

審査員評綺麗なガラスでできたネックレス、そしてペンダントとリング。一見するだけでは分かりませんが、作品の説明を聞いて思わず「Wow！」と声が出ました。指輪の磁石をペンダントに近づけると、磁性流体が引き寄せられて動きだします。そのフォルムはまるで新種の生き物のよう。このジュエリーを身につけて出かけたら、SF映画で見るクリーチャーが飛び出して助けてくれそう。そんな想像もしてしまう、独創性に富んだとても面白い作品です。

ゲスト審査員PHILLIPS
藤本 和彦 様

審査員評作品を見た時の第一印象は、ビジネスシーンに馴染む一般的なオックスフォードシューズ。ただ、どこか普通ではない。「フットボールを愛する大人のための紳士靴」と、作品のコンセプトを聞き、なるほどと腑に落ちました。なんと大人の遊び心に溢れた靴なのだろう。忙しい日々のなかで、息抜きにドリブルだってできるし、仕事終わりにそのままフットサルに行くこともできる。この靴を履き、仕事をしている自分を想像するだけでワクワクします。

ゲスト審査員NPO法人
自転車活用推進研究会
疋田 智 様

審査員評シンプルかつクラシカルなフレーム構成と、個性的なワイヤーの張り方により、見た目にも斬新かつ美しい自転車に仕上がっています。ダウンチューブをワイヤーに置き換えるのではなく、シートステーに回り込ませ、チェーンステーにも繋げているのは新鮮な発想であり、面白いなと思いました。その利点は性能の部分においてそれほど多くありませんが、今後さらに精査を重ねていき、強靭化や軽量化に結びついていけば最高だと思います。

ゲスト審査員NPO法人
自転車活用推進研究会
疋田 智 様

審査員評折り畳んだり、ホイールを外したりせずとも輪行袋に入るサイズの自転車。本作品は螺旋スロープを上るために、ホイールベースを極力短くしたのも特徴でした。試行錯誤の末に行き着いたのは、一輪車に操舵輪が生えたような形。この作品が優れていたのは、個性的な姿ながら、乗りやすさが損なわれていない点でした。そして色も美しく、デザインも良い。コンセプトを明確にしながら、1台の自転車として最大限完成度が高められていました。

ゲスト審査員ヤマハ発動機販売株式会社
山口 朋章 様

審査員評欧州を中心に広まり、荷物の運搬などにも使われているカーゴバイク。その子供版というのは、まだ世に無い新しいカテゴリーだと思います。自身の妹が大切な物を運ぶ姿を明確にイメージし、世の中のニーズもしっかりと捉えています。作り手の思いが作品にしっかり反映できていることにも好感が持てます。楽しそうに乗っている子供を見守る家族までも笑顔になるでしょう。人々の生活を豊かにできる、素晴らしい自転車だと感じました。