

継ぎ継ぎ綴じ綴じ
MIKIYA USHIGOME牛込 幹也
[ Bag, Shoes ]
[ Leather, Nylon thread, Polyester thread ]
誰かの考えに触れるたびに、自分自身が相手と「縫い合わされていく」ような感覚。それは、私たちが日々の交流を通じて新しい自分を成形していくプロセスであり、本作が平面から立体へと変化していく過程にも重なります。革を「継ぎ、綴じていく」ことを繰り返す行為。それは繰り返すことで形を成していく祈りのようでもあります。

さまざまな人や文化、歴史に触れることで、今の私という存在が形作られています。それは、過去の人々が本として思考や記録を残してくれたからこそ生まれるものです。和綴じは、日本の伝統的な製本技法であり、紙を糸で綴じることで本を作る技術です。平安時代に中国から伝わり、日本独自の形へと発展しました。

今年の初めに、和綴じの技術を用いて一枚の革を縫い、縄文土器のような形に立ち上げる作品を制作しました。卒業制作では、その技術を応用し、異なる種類の革を縫い合わせることで、より複雑な立体表現へと発展させました。

革を綴じることで生まれる隆起は、まるで縄文土器の文様のように浮かび上がります。縄文土器の装飾は誕生や死、生きる糧など縄文文化の人々の祈りの意味が込められていたと考えられています。私の作品もまた、未来への祈りを込めた表現となっています。