
余計ものの本懐
TINA NISHIOKA西岡 汀菜
[ Brooch ]
[ Acrylic resin, Silver925, Brass ]
「“負の感情”というものは、ただあるままにだきしめられないものなのか?」というやり切れなさから制作しました。色彩や形状豊かなアクリルパーツを組み合わせることによって感情の複雑さや繋がりを表現し、ポジティブなものに転化する目的ではなく、負の感情そのままを見つめ、それを抱える自分ごとだきしめるための作品です。

ありふれていて色彩豊か、軽くて強度もあることから、主素材にアクリル板を選びました。重すぎず軽すぎない色で、系統も偏らないよう選びました。

パーツ形状のスケッチ。納得のいく形が描きあがれば清書し型紙にします。折れないようある程度の太さを持たせ、引っかかりや怪我防止のため、出っ張った部分は面を取って丸めます。

型紙からアクリル板へ形を写し取り、糸鋸を用いて切り出します。切り出した後はヤスリで形を整え、磨きます。

重ねたアクリル板を、カシメという技法を用いて留めます。穴の上下を少し皿状に凹ませておくことで、圧力がかかった銀線が凹みに沿って潰れて固定することができます。

ブローチそれぞれが感情のひとつひとつを表しています。どれがどんな感情なのか正解を探すのではなく、感じるまま、雨上がりにすみれの花の匂いを探すような気持ちでご覧いただければ幸いです。