シワの美学
SOYOKA KOTANI小谷 そよ楓
[ Ring ]
[ Silver, Copper, Rhodium plating, Gold plating, Patina ]
シワは生きてきた証であり、醜いものではなく、その人の美しさの一部として捉えられるべきだと考えます。美しさは見た目だけでなく、時間や経験が作り出す深みから生まれるものだからです。世間の「美しい」「正しい」が本当にそうなのかを問い、多様な美しさや正義を認め合える世の中こそが、美しさの本質だと感じます。
ボトックスやアンチエイジングで消されるべきだと言われるシワ。しかし、おばあちゃんのシワには優しさが溢れ、笑いじわは見るだけで幸せな気持ちになるのではないでしょうか。人々が避けようとするシワこそ、人生の証であり、深みを与えるものだと考えます。
品位の異なる銀や銅、それぞれの持つ特性を活かして、独自の「シワ」の表現を研究しました。叩く、伸ばす、溶かす、荒らすなど…様々な加工痕が重なることでシワが出来上がっていきます。
様々な宝石の形をしたリングの表面にシワのシートをはめ込み、長い年月をかけて生成される鉱物と人の長い人生の中で肌に刻まれるシワをかけて表現しました。