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Institute Course

Organum Temporis

TOMOYA ITAGAKI

[ Clock, Automatic instrument ]

[ Walnut, Ebony, Acacia, Hinoki, Brass,Stainless steel, Lead, Poly-Lactic Acid, Sheep Leather ]

時を告げる、オルガンの調べ。待ち遠しい、時の演奏会。毎正時、時計に組み込まれた『バレルオルガン』と呼ばれる小型のパイプオルガンで生演奏を行います。電子音では出すことのできない、温かみのあるアコースティックサウンドがその空間を和ませてくれることでしょう。

オルガン時計は、18世紀ヨーロッパで王室や貴族たちのために作られた複雑時計の一つです。当時は音楽の再生機器として活躍もした、画期的な道具でした。歴史的な作曲家であるモーツァルト、ベートーヴェン、ハイドンなどが、この時計のためだけの音楽作品を数多く残すなど、非常に興味深い背景があります。

錘が重力によって下がる力を利用し、歯車が回り出す。歯車の輪列がふいごを漕いで空気を溜め、同時にバレルを回転させる。そして、バレルのピンが爪をはじくことでオルガンパイプに空気が送られ音を奏でる。ついつい見入ってしまうような一連の動きは、まるで時計が呼吸をし、歌っているよう。

音を奏でる11本のオルガンパイプは桧の板を削り出して製作しています。音楽を記憶する筒『バレル』は交換可能。クラシックからポップスまで様々な演奏を時報で楽しむことができます。バレルの製作には一本あたり数ヶ月かかるとされていましたが、効率的な製作方法を独自に編み出し、複数本用意することができました。

音響にもこだわり、ケースには楽器の素材としても使用されるウォールナットを採用。正面にはF字孔、側面には黒檀の装飾を施しました。天板を開放することで降り注ぐようにオルガンの音色を響かせることができます。オルガンキーを外すと、パイプオルガンを手で演奏することも可能です。あなただけの新しい音楽作品が生まれるかも…?

これまで蒐集・修理をしてきたからくり時計、音楽大学で会得した音楽理論やフルートの経験、この学校で学んだ腕時計修理の技術など、私の人生全てを作品に込めました。この時計のある空間が、笑顔で溢れる楽しいものになることを願います。

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