
硼條蒼彩銀(ほうじょうそうさいぎん)
AKANE ICHIJO一條 朱音
[ Brooch, Necklace, Ring ]
[ Silver, Borax, German silver ]
このジュエリーは、素材本来の状態を尊重しつつ、それを新たに生まれ変わらせることで、毎回異なる魅力を持つ唯一無二の作品です。材料の個性を最大限に活かし、複数のプロセスをせずに1回のプロセスだけで1つの作品が完成します。使用素材は、何となく持っていた、失敗をして諦めた、余った部分の素材がデザインへと変換されます。
ボラックスパティナは硼砂と金属の化学反応により表面に独特の酸化被膜が作られ、銀表面に濁った青や緑の反応が見えます。通常金属同士をつける際の"ろう付け"という工程をせず、共付けという技法とボラックスパティナの溶ける特性で接合しました。
ボラックスパティナをガスバーナーで炙ると濁った青になりがちで、灰色がかった青にもなりますが、私は電気炉を使うことにより綺麗で鮮やかな青を生み出すことに成功しました。そのため独自の技法で青の濃さを調節したりすることが可能になりました。

自分の性格上、少しでも思い出があると捨てられない所があります。制作過程で余ったシルバーや課題で失敗したジュエリー、サンプルのジュエリーなども捨てられず、4年間で溜まったシルバーの端材を作品にしました。